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奨学生の写真・感想等(2024)

安武 あいり (Chicago)
今回、第16期生としてシカゴへ旅立つことができ、大変うれしく思っております。
みすみ先生、 Lane Alexander氏をはじめ、 たくさんの方々のサポート、本当にありがとうございました。心より感謝申し上げます。
 
この2週間の旅は、私にとって初海外でもありました。本場アメリカのタップダンスはもちろん、言語、文化、景色、その他多くの事が初めて触れることばかり。
 
いつのまにか海外に行ってみたいという好奇心よりも、言語や金銭面といった様々な壁や恐れ、現実的な問題の方が大きくなってしまっていた私にとって、JTSPという日本にいながらオーディションに挑戦することができる制度は、長年の憧れに向かって背中を押してくれる存在となりました。
 
初めての長時間フライトを終え、降り立ったシカゴの町並みはとても美しく、その街の中にいるというだけでまるで映画の主人公にでもなったかのような錯覚を起こして、ここからまた心機一転頑張ろうと、強く大きな気持ちを抱くことができました。
 
今回のRhythm World34で、私は
Lane Alexander, Derick Grant, Melissa Almaguer, Karissa Royster, Anthony Morigerato, Sarah Savelli, Naomi Funaki, Jumaane Taylor 計8名(受講順)、基本クラスから上級クラスまで幅広く合計21クラスを受講させていただきました。
 
その他、2度の講師陣を交えたスタジオでのジャム、3回のショーケース鑑賞、またStudents Showcaseでは出演するチャンスをいただき、一緒にクラスを受講している子たちとともに、芸術的な広い劇場でソロナンバーを踊ることができました。
 
街全体が芸術を大切にしているのかなという雰囲気。建築物や美術館、アートスポットなども多く、元々の街がもっている魅力の一つであるともいえるかと思いますが、タップダンスに対して大きな金額のドネーションが行われていたり、多くの人がショーを観に来ていたりと、(もちろんLaneさんはじめ皆さんの努力や長年の積み重ねがベースにあるとはいえ)なかなか日本ではこうはならないのではないかという事も多く、とても新鮮で驚きました。
 
講師陣のショーはそれはそれは素晴らしく、各々の個性と技術が光り輝いていました。
3度のショーが開催されたため、ライブハウスと劇場、同じタップダンサーたちのそれぞれの場所での踊り方や表現の違いも見ることができて、とても興味深かったです。
 
4日間の通しレッスンではKarissaの上級とAnthonyの初級を選択。毎晩ホテルで復習する日々。
Karissaのクラスでは3拍子の速いテンポのコンビネーションでした。振りの緩急がとても心地よく、慣れないステップに苦戦した難しいナンバーでしたが、とてもお気に入りのナンバーとなりました。
 
Anthonyのクラスは基本的な指導方法を学びたいと思い初級を選択しましたが、クラスが連続していたためか、こちらのクラスの参加者が少なく、また参加者全員がそれぞれの地元で講師をしており、同じように指導方法を学びたいという参加目的を持っていたので、具体的な質問をしたり、やりたいことをリクエストしたりと、ひとりひとりじっくりと見ていただきました。(もっと英語が話せれば、もっと深く質問ができたし、もっと深く理解ができたのに!)4日間で1曲の振り付けが終わり、最終日には舞台で踊ることを意識した指導までしていただき、とても贅沢な時間となりました。
 
単発のレッスンも、基礎的なステップでもリズムのグルーヴが心地いいものや、インプロへの抵抗を無くし各々が自分のリズムを表現しやすい流れの作り方など、どのクラスもとても楽しく新鮮で、学び多きものでした。Derickの初中級クラスでは、クラス終盤の振付の際に、”何か好きな歌を歌って!”と言われ、Aトレインを口ずさむと、それに合わせて1コーラス分のコンビネーションを作ってくれるという、とってもユニークで面白いクラスもありました!
 
レッスンやショーケースも最高でしたが、何よりも、このシカゴでの日々を通して、”タップファミリー”を感じることが出来たことが嬉しかったです。
 
拙い英語ではありましたが、レッスンの中では声をかけてくれる人も多く、友人も出来ました。今回2週間ではありますが、タップを学ぶために世界各国からシカゴに来ている、近い年齢の子たちと切磋琢磨できた時間はかけがえのないものだと思っています。
 
アメリカらしい、みなとてもフレンドリーである点に加えて、どのクラスでも、どんなレベルであっても、互いに認め合い、惜しげもなくエールと称賛をしっかりと言葉と行動にして送る。その心がとても素敵で素晴らしいと感じました。そんな中だからこそ、よりチャレンジ精神をもって頑張ることができるのかなとも思いました。日本に帰っても、私の周りもこんな空間にしていけたらいいなと思っています。
そしてそこに身を置いて実感する、もっと英語を話せるようになりたい!という思い。これは次回までの宿題です。
 
今後また別のタップフェスティバルに一緒に行こうと皆と約束をし、それぞれのホームタウンに帰りました。この数日で一気に自分の世界が広がったように感じています。
 
シカゴでのレッスンの日々は本当に素晴らしいものでした。私も自分が生まれ育った場所で、この楽しさを共有したい。
少しずつでも輪を広げて、今回改めてシカゴで感じることができたタップの楽しさや素晴らしさをシェアしていくため、これからももっと私自身、憧れとする姿に近づけるよう、精進していきたいと思います。
 
この度は本当にありがとうございました。
 
安武あいり
大保 成史 (Chicago)
この度、第16期JTSP生としてChicago Human Rhythm Projectに参加しました。海外のタップフェスへの参加は2回目で、アメリカに行くのは今回が初めてでした。2週間という限られた期間の中で「誰よりも多くのことを経験する」。これが自分自身との約束でした。
 
 合格通知を頂いてから、改めて講師陣のタップダンスの動画を調べて、どの先生のクラスを受講するかを吟味しました。私はLaneさん、Naomiさん、Jasonさん、Derickさん、Cartierさん、Jumaaneさん、Sarahさん、そして、Anthonyさんのクラスを受講しました。憧れのタップダンサーが目の前で踊っている。そして、自分に語り掛けてくれている。それは夢のような時間でした。
 
CHRPで受講したクラスの中で、Jasonさん、Derickさん、そしてCartierさんのレッスンが特に印象に残っています。
Jasonさんは今回出会った先生の中で最もストイックな方でした。彼の “Choose your hurt.”という言葉が心に残っています。私はその言葉を、上手くなるためにはもっと練習するほかに道はない中で、自分が到達したいレベルに合わせて、練習強度も設定する必要があると解釈しました。実際に、Jasonさんは毎日6:30に起きて練習しているそうです。彼のタップを見て、ステップの抜群の安定感は、その毎日の練習から形作られているということをはっきりと認識することが出来ました。タップスタイルも、タップとの向き合い方も見習いたいと感じました。
Derickさんのクラスは、最初3日間のマスタークラスと、その後開催されたChoreographic Residenciesとあわせて6回受講しました。どのレッスンにおいても、タップを踊る時に必要なマインドをシェアして下さいました。また、インプロを踊った後のディスカッションの時間では、英語で伝えることの難しさはありましたが、積極的に発言することを心掛けました。これは前回、はじめての海外フェスでストックホルムへ行った際に、語学力を言い訳にクラスにフルコミットできなかったことの反省からです。上手くその場で言葉に出来なかった時も、次の日に文章にして読んでもらい、意見をもらいました。これは毎日クラスを受講できたからこその経験でした。また、マスタークラスの時、一度、Derickさんと二人だけでインプロできたこともかけがえのない経験になりました。
 Cartierさんのクラスも4日間受講しました。I go, you goからクラスが始まり、その後マスターのステップをブレンドした振付や、Cartierさんが実際に踊った振付をシェアしてくださいました。彼のタップの音色には一切の迷いがなく、彼の一挙手一投足には全て自信が溢れているように感じました。アーティストとして振る舞うということがどういうことなのかを、その姿から勉強することが出来ました。また、Cartierさんはクラス以外の時間でもフレンドリーに接してくださいました。一緒にハングアウトして、そこでも沢山のお話を聞くことが出来ました。
 クラス以外にもイベントの時間が沢山ありました。私も参加できるJamやStudent Showcase、そしてGalaを始めとする講師陣の圧巻のパフォーマンス。その全てに参加し、タップにどっぷりとつかることができた経験は何物にも代えがたいものです。
 私はその中で、JamやStudent Showcaseなど、人前で踊る時に感じた、お互いを称え合う精神性に強く感銘を受けました。勿論、自分自身もオーディションに合格したからこそシカゴへ行くことが出来ましたし、シカゴでも常に競争している感覚がありました。しかし、それは相手を如何に出し抜くかを考えるものではなく、相手と如何に高め合っていくかを考えることを前提としたものでした。リスペクトをもって、互いをライバル視し、自分のレベルを上げることの大切さを再確認することが出来ました。
 そして、このような感覚で2週間を過ごすことが出来たため、沢山の友達にも恵まれました。みんなでSHAKE SHACKに行って自分の将来の夢を語り合ったり、暇を見つけてはJamをしたりしたあの日々が早くも懐かしいです。
 最後に、今回のCHRPの講師の中に日本人の方がいらっしゃいました。Naomiさんは第9期JTSP生で、現在はNYを拠点に活動されています。Naomiさんはとてもフレンドリーな方で、クラス中みんなが笑顔でレッスンを受けていた様子が印象的でした。また、フェスの期間中、初めてのアメリカで右も左も分からない私たちをたくさん気にかけて下さいました。今まで、海外を拠点に活動することは自分にとって縁遠いもので、抽象的なイメージを抱くことしかできませんでしたが、実際にアメリカで結果を残しているNaomiさんのお話は、自分の将来のビジョンに大きな影響を与えてくれました。
 
 この度は、夢のような経験を本当にありがとうございました。今回、当初自分に対してした約束は守ることができました。次は、この経験をどう活かしていくかという段階です。今までの目標通り、日本におけるタップダンスの立場をさらに飛躍させることを目指すにしろ、海外で自分のタップダンスがどこまで通用するのかチャレンジするにしろ、今まで培った経験すべてをもってして、全力を尽くします。
 
大保成史(Seiji)
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